これが「ふるさと信州・環の住まい」!?
みなさんこんにちは。昨日、3月9日(火)、長野県建設部主催で「ふるさと信州・環の住まい」の基本方針説明会が開催されるということで、松本合同庁舎講堂まで行ってきました。もう、座席は満杯かと思いながら受付を済ませると、ガラ空きの状態でした。「ふるさと信州・環の住まい」認定グループの関係者は既に基本方針を把握しているはずなので、参加するまでもないとして、事前の情報で内容を把握できたからか、告知不足からか、内容に興味がないからかはわかりませんが、住宅関連事業者や一般の人の参加者の少なさに拍子抜けしてしまいました。前置きが長くなりましたが、「ふるさと信州・環の住まい」とは、簡単に言うと、少子高齢化や地球温暖化などの問題、林業や住まいづくりに関連した地場産業の衰退の問題など、わたしたちを取り巻く身近な問題をふまえ、「環境に配慮し、長野県産木材を使い、気候風土にあった信州らしい木造住宅」を供給し、わたしたちがそこに住み続けることで、豊かな住環境を次世代に引き継いでいくことが目標で、それを実現するための「環境共生」と「地域の産業循環の促進」への取り組みを「環=わ」という言葉で表したそうです。そもそも、平成20年の1月初旬に、長野県が「信州型エコ住宅」を推進するための地域住宅産業グループを募集したことに始まり、同年5月に認定を受けたグループが補助金を受け、県と協議を重ね、約2年の歳月をかけて出来上がった成果が、今回の「ふるさと信州・環の住まい基本指針」ということになるので、どんな成果が出来たのか楽しみにしていました。昨日、配布された成果物は写真の通りです。
![]() 左:1.ふるさと信州・環の住まい基本指針 右:2.ふるさと信州・環の住まい基本方針の手引き |
![]() 左:3.ふるさと信州・環の住まい認定制度説明資料 右:4.ふるさと信州・環の住まい基本方針説明会資料 |
そのうち、3と4は成果物の補足説明資料なので、実質的には1と2のみが今回の成果物ということになると思います。
1.ふるさと信州・環の住まい基本指針 と 2.ふるさと信州・環の住まい基本指針手引き の内容を読んでみると、そのほとんどが、国の長期優良住宅制度(≒木造住宅の性能表示制度)、㈶建築環境・省エネルギー機構から発行されている「自立循環型住宅への設計ガイドライン」、「CASBEEすまい戸建評価マニュアル」を切り貼りした要約版のような内容で、率直にがっかりしました。特に、1の後半に掲載された認定グループの取り組み事例は、大半が7年ほど前に長野県産木材の利用促進のために認定された「信州木づくりの家グループ」の取り組みと類似の内容で、かつ、個々の企業が普段から行っている事業の延長線と思わざるを得ない内容でした。しかも、各グループ1ページという希薄な掲載のされ方でした。各グループからの成果報告の密度が濃すぎて掲載しきれなかったのか?逆に、詳細に掲載できる成果報告を得られなかったのか?いずれにしても、認定グループに補助金を交付し、2年もの歳月をかけて作成した成果とは思えない、希薄で既知の内容でした。少なくとも、長野県から新たに認定を受けたグループであれば、従前のグループが実施してきた成果や個々の企業の日常業務の焼き直し的な成果ではなく、新グループとして取り組んで得られた新たな成果報告があってしかるべきで、補助金を受けたグループであればなおさらではないかと感じてしまいました。何らかのかたちで認定グループとしての取り組みの新たな詳細な成果報告が、早々になされることを願うばかりです。
3.ふるさと信州・環の住まい認定制度は、申請により、環の住まい認定基準としてもうけられた、5つの基本基準と7つの選択基準(3つを任意選択)をクリアすることで、長野県から環の住まいとして認定を受けられる制度です。まだ、県議会で審議中とのことでしたが、認定を受けた住宅は、4月から、新築で100万円、リフォームで40万円の補助を受けられるそうです。認定基準の詳細は、長野県のホームページを参照いただきたいと思いますが、基本的には長期優良住宅認定基準と重なる基準が大半で、「CASBEEすまい戸建」の評価をAランク以上とする基準は、環の住まいの独自の基準です。長期優良住宅にしても、環の住まいにしても、認定基準をクリアする住宅は、従前の住宅に比べ、コストアップは避けられません。そのコストの一部を、良質な住まいのストックを目的として、国や県が助成してくれるわけです。環の住まいの認定実務は、これまで実施されてきた「ふるさと信州の住まい助成金制度」と類似しており、CASBEE戸建評価員であれば支障なく対応できる実務であると感じました。この制度の恩恵を受けられるのは限られた人になりそうですが、目的通りに実施されれば、大変素晴らしい制度だと思いますので、私も積極的に取り組んでいきたいと思います。
<以下CASBEEと自立循環型住宅への設計ガイドラインの補足説明>
下の写真は、私が平成20年11月に実施されたCASBEE住まい戸建評価委員の試験に合格した時に使用した評価マニュアルと評価委員の登録証です。そもそも、CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)は、新築や既存を問わず、建物を環境性能で評価し、ランク付けする手法で、S,A,B+,B-,Cという5段階でランク付けされ、Sが最も高い評価になります。評価が高いに越したことはありませんが、何ランク以上でなければならないという基準は設けてはいません。それは、CASBEEが住宅の新築やリフォームの設計時にCランクであった評価をBランクやAランクに上げるにはどうすればよいかを検討するためのツールであるからです。人の暮らしや地球環境のことを考えると、これからの住まいづくりは、設計の段階からこのようなツールで評価を行い、さらに設計や工事にフィードバックし、実践して行くことが大切です。
![]() CASBEEすまい戸建評価マニュアル |
![]() CASBEE戸建評価員登録証 |
下の写真は、もう5年も前になりますが、私が、平成17年に㈶建築・環境省エネルギー機構の主催で開催された「自立循環型住宅への設計ガイドライン」の講習会に参加した時に購入したテキストです。自然のエネルギーや省エネ設備、住まい方の工夫などによりエネルギー消費の50%削減を目指す住宅の設計手法が書かれたテキストです。ここに掲げられた手法を取り入れた住宅をつくれば、そうでない住宅に比べてエネルギー消費を50%削減できるかというと、そう短絡的な話ではありません。そもそも、日本全国は省エネルギーの基準でⅠ~Ⅵの地域に区分されており、このテキストはⅣ地域に属する比較的温暖な地域(関東、東海、中部、近畿、山陽、九州)でつくられる住宅を前提としているので、長野県のようなⅢ地域以北に属する寒冷な地域(信越、東北、北陸、北海道)でつくられる住宅にこの手法を適用しても、消費エネルギーの50%削減は困難です。したがって、そこまで求めず、現状より出来るだけ消費エネルギーを削減する手法として取り入れる分には、有効な内容なので、CASBEEとセットで設計段階から取り入れることが大切です。
![]() 自立循環型住宅への設計ガイドラインのテキスト |
![]() 自立循環型住宅への設計ガイドラインのなかみ |





